「かわいい」で世界をリードする

アーティスト 村上 隆さん

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「キティちゃんのかわいさは、世界言語。赤ちゃんや子イヌがかわいいのと同じレベルで強力です。しかし、それを言葉で解説しないと納得できない人たちがいる。私はアメリカで暮らしたとき、そのコミュニケーションの断絶に気がついたんです」

世界のカワイイ・ブームの火付け役のひとりである村上隆さんは、そう話しだした。

笑顔の花たちが居並ぶ『Kawaii-vacances』やルイ・ヴィトンとの共同制作でカラフルなバッグなどを発表しているのは、まるでそういう人びとへの「かわいいものはかわいいんだ」という挑戦であるかのようだ。

「人の脳を解剖していくと、幼児や子イヌや子ネコを愛しいと思う、どうしようもないスイッチがあると思います。それをロジカルに解析することがクリエーターの仕事です」

その愛しさに、日本の「かわいいもの」たちがヒットしたのが世界的なブームの要因である。そして、それに拍車をかけたのが世界的な経済の行き詰まりだと、村上さんは言う。

「経済がすべて、が西欧のロジックであり、それに私たちも合意したのが現代の世界ですが、そこには勝敗が必ず発生し、敗者は多数となる構造になっている。敗者にも希望が必要であり、そのキーがかわいさだと思うのです」

それにしても、なぜ日本発なのか。

「日本人が持つ圧倒的な器用さと、仕事に対する誠実さで、完成度の高い作品をリーズナブルに提供できたからです」と、明快なのである。

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