数千年前から日本人の祖先がつくりだしてきた造形―古代の土器、仏像や絵巻、浮世絵、人形など―には、いかついものや直線的で力強いものだけでなく、曲線的で小さく愛らしい、温かみを感じさせるものが少なくない。
10世紀、宮廷の女官で教養あふれる随筆を残した清少納言も、『枕草子』に「親鳥が雛にエサを与えるところや、子どもが地面のものを拾って大人に見せるしぐさがかわいい」と書いている。小さな動物や未成熟なものの無邪気さ、純粋さに美を見出していたのだ。
21世紀の日本では、かわいいものに対する情熱がますます高まっている。現代の日本人は、純粋さや無垢の心に、それだけ強い憧れを抱くようになっているのかもしれない。