菅野 結局のところ、かわいいは理屈じゃないっていうのが私の主張なんですけどね。だって、かわいいものはかわいいし、かわいくないものはかわいくないんだから。
オバタ ですから、かわいいは思考を停止させる装置なんですよ。美しいには権威という縦軸がある、偉い・偉くないがある。しかし、かわいいにはそれがないんですよ。
石原 要するに便利だから使っている。そんなにありがたがっているわけでも、権威を与えているわけでもない。しかし、そんな日本が目指しているのは、「かわいい国日本」ということなんですかね?
菅野 わかった。日本は「かわいい」の発信国、最先端国として、世界をいやす存在になればいいんですよ。でも、「日本にはこれしかないのか」って誤解は避けたいですよね。
石原 もちろん。日本人は別にかわいいだけにすがって生きているわけじゃないですからね。
オバタ たしかに「かわいい国日本」は、目標としてはそんなに悪くないですね。でも、そうじゃなくて、やっぱり今は「美しい国、日本」※10を目指しているんじゃないんですか?