「わ〜かわいい!」
「すごい、ちゃんと並んで歩いてる!」
園内のあちらこちらから歓声が上がる。降り積もった雪の中、大勢の人びとが見つめるのは、ヨチヨチ歩きのキングペンギンたちだ。道の両脇にずらりと並んだ人びとの間を、列をつくって、時には寝そべったりしながら、歩いてくる。見物人とペンギンの間には、柵もロープも何もない。そう、これが旭山動物園の冬の風物詩「ペンギンの散歩」なのだ。
初めてペンギンの散歩を見る人びとは、整然と歩く姿に驚き、うまく調教したものだと思うかもしれない。しかし、もともとキングペンギンには、遠くの餌場まで移動したり、仲間とともに行動したりする習性があり、「散歩」は冬場の運動不足を解消させるために始めたという。動物本来の行動や能力を引き出して、見せる、これが旭山独自の「行動展示」といわれるものだ。