そして、2006年8月には新たな施設「チンパンジーの森」がオープンした。樹上で生活するチンパンジーを観察できるよう、地上5mにアクリルガラスで覆われた観覧者用の空中トンネルが通っている。そこからは、ロープにぶら下がって遊ぶチンパンジーや、子どもを抱いたチンパンジーなどを間近に見ることができる。

 「適度な刺激を与え、能力を発揮できる施設を作ってやると、動物たちは生き生きします。チンパンジーも、以前は私が檻の前に行くだけで、騒ぐ、水をかける、つばを吐くなど、こちらを警戒していましたが、環境が変わって数日で、まったく威嚇しなくなりました。また以前は、チンパンジーが子どもを見せるなど考えられないことでした。広く、いつでも高い所に登れる、自分たちが優位に立てる空間にいるという安心感からでしょうか。それは他の動物たちにもいえることです」

 と副園長の坂東元さん。動物の立場に立った環境づくりは大きな成果をあげている。

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