臨機応変なサービスを心がける

 「従来のサービスに加え、それぞれのお客さまが求めていらっしゃるものに気づくことが大切です」

 そのため、加賀屋では、お客と直接接することが多い客室係の教育には特に力を入れている。女将の体験、接客に対する心構えを伝えるのはもちろん、滞在中に楽しんでもらうための地元の文化、情報などを伝える勉強会なども毎月開いている。

 さらに「一人一芸」を奨励し、茶道、華道、日本舞踊、着付けなどクラブ活動を援助したり、介護などの資格を取ることもすすめている。

 「趣味や特技をもつことで、人間的に幅が広がります。それをきっかけに会話もはずみ、さらにはお客さまへのサービスにつながります」

 実際に、介護の資格を取った社員が、高齢者や障害者の入浴の世話をしたり、着付けのできる社員が、結婚式に出席するお客に和服を着付けたり、臨機応変なサービスは宿泊者に大好評だという。

 「お客さまの期待どおりのことをやっても当たり前。期待を上回るのにはどうすればいいか、毎日が勉強です。この商売に百点満点はないんです」

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