人間を助けるためのロボット

 同じ頃(1998年)、通産省(現・経済産業省)が産業技術総合研究所(産総研)を中心に「人間協調・共存型ロボットプロジェクト(HRP)」を発足させた。人間を手助けするロボットの実用化をはかっていこうというのである。

 当初はホンダの『P3』をベースに研究を進め、2003年には独自の人型ロボット『HRP-2』を開発した。体長は154cm、重さは58kgと小型化に成功。腰の自由度が利くことに特長があり、腕の力も強く、尻餅をついても自分で起き上がれる。重機などにも一人で乗り込め、操縦もできるのだ。

「人と同じ環境で動き、人が使う道具を使える。その意味で人型ロボットはとても経済的です。また人と共存するには人型でなければならないんです」

 そう言うのは、産総研の比留川博久さんだ。

 2005年秋には『HRP-3』のプロトタイプ機を開発した。野外での作業に耐えられるように塵や埃、水滴からロボットを守る能力を高めたのだ。

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