流氷からサンゴ礁まで

 長い間かかって、太平洋の底をつくっている地殻(太平洋プレートとフィリピン海プレート、南海マイクロプレート)が、大陸方面の地殻の北米プレート、アムールプレートの下に東・南側から潜り込んで押し上げ、細長い山脈ができました。現在、その山脈の低い部分は海面下ですが、陸地になっている部分が日本列島であるため、山が多く、広大な平野はありません。山は海岸まで迫り、地震が多く、温泉が至る所にあります。火山も多く、富士山、阿蘇山、浅間山など、活火山だけで60を超すといわれます。北海道や本州中部の日本アルプスには、1万年前まであった氷河が残した地形が今も見られます。

 海に囲まれた山の多い地形は、四季のはっきりした気候に大きく影響します。周りの海のほとんどには暖流が流れているので、湿度が高くなります。山に湿度の高い風がぶつかり、多くの雨や雪を降らせ、水量の多い川が無数の谷や滝をつくります。どこにでも森がありますが、砂漠は全くありません。春は全国で桜が見られ、初夏には水田が緑になります。夏から秋にかけての梅雨や台風は大雨をもたらします。多くの人が夏には山や海へ行き、秋には紅葉を楽しみます。

 冬は大陸から乾燥した冷たい季節風が吹きますが、日本海の暖流を越えてくるため大量の水分を含み、日本列島の山に当たって雪になります。高さ2000mから3000mの山が連続する本州中部の日本海側は、山間盆地で積雪が1〜3mを超えることもしばしばで、世界でもまれな深雪地域になります。北海道の札幌では大規模な雪祭りが開かれ、外国からも観光客を集めます。オホーツク海岸は、冬の一時期、流氷で覆われる世界の流氷南限です。一方で、冬でも寒くならない亜熱帯気候の沖縄方面ではヤシが茂り、見事なサンゴ礁が多く見られます。日本は、流氷からサンゴ礁までが存在する珍しい国なのです。

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