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刺身と寿司
魚を生で食べる日本料理の代表は、なんといっても刺身と寿司です。まず、刺身とは、本来、生の魚に限らず野菜や豆腐も含め、食材を「切って食べる」ことをいいます。刺身は、食材の性質に応じて繊維に沿って切ったり、繊維を断ち切るように切ったりして、食材をよりおいしく食べられるように工夫する、包丁の「料理」です。
日本料理には「割主烹従」という言葉がありますが、その言葉のとおり、日本料理では、「割」(切ること)に「烹」(煮ること)が従う……つまり、切るだけの料理である刺身のほうが、煮たり焼いたりする料理よりも上位とされます。その結果、包丁の種類も多様化しました。日本料理の料理人にとっては、包丁が最も大切なので、私は毎日、ヒゲが剃れるくらいによく研ぎ上げて、日々の仕事をしていますよ。
寿司は、酢を染み込ませたご飯の上に、生魚や煮焼きした魚をのせた、一口で食べられる料理として世界じゅうで愛されていますね。古くは保存食として発達してきましたが、現在はご飯の上に素材をのせたものを寿司と呼んでいます。酢には防腐作用がありますから、素材を傷みにくくする効果もあるのです。
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