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醤油は、日本料理には欠くことのできない便利な調味料だ。汁や煮物などの味付けに使うだけではなく、卓上に置いて料理や素材に直接つけたり、かけたりもする。
醤油の材料は大豆と小麦と塩、それに水。大豆と小麦で作った麹に食塩水を混ぜた「もろみ」を数カ月発酵させ、じっくりと水分を搾り出し、加熱殺菌すると醤油ができる。醤油は大きく分けると、濃い口、薄口、たまりの3種類。消費量の大部分は濃い口醤油が占め、今では濃い口が醤油の代名詞だ。薄口醤油は、煮物などの素材の色を変えないよう、醤油の色を薄く仕上げたものだ。
13世紀に禅僧が中国から製法を持ち帰った径山寺味噌という味噌に、野菜を漬け込んだときに出た水分が「たまり醤油」の始まりといわれる。16世紀から醤油はおもに関西で生産されていたが、17世紀後期、江戸(現在の東京)の人口が増えるにしたがって現在の千葉県を中心に醤油屋がいくつも生まれた。甘みのあるたまり醤油から、江戸の人びとの口に合う塩味の強い濃い口醤油が造られるようになった。
今でも日本一の醤油生産地の千葉県で、ただ一軒、昔ながらの醤油醸造を続けているのが、「タマサ」の商標で知られる宮醤油だ。
「香りがよく、まろやかで味のバランスがいい醤油ができたときは、この仕事を継いでよかったと思いますけど……。そんな経験は、まだ少ないですね」と、専務の宮敬一郎さんは言う。
創業170年の老舗を継いで12年。少しでも旨い醤油を造りたい。その気持ちが自然の温度変化に任せる天然醸造にこだわらせる。量産はできないが、醤油に一段と風味が増すからだ。もちろん材料も厳選している。
「大豆と麦は県内産です。水は、わが家自慢の地下水。塩は、アミノ酸たっぷりのメキシコ産です」
宮醤油は多くの料理人に愛されている。http://www.miyashoyu.co.jp
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