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富士山は巨大なダムだ
富士山は、比較的新しく形成された割れ目の多い表層と、その下にある、古富士火山によってできた水を通しにくい泥流層とからなっている。そのため、年間降水量が20億t以上にのぼる富士山では、大量の雨や雪解け水が、いったん表層から山の内部にしみ込み、地中の古富士泥流層の上を流れ下る。そして裾野に達してから地表に湧き出し、川や湖となるのだ。
また、裾野に広がる溶岩地帯には、表面が冷え固まった後に、内側の高熱の部分だけが先に進んでできた「溶岩トンネル」が網の目のように張りめぐらされている。1日500万t以上ともいわれる富士山の湧水は、その溶岩トンネルを通ってさらに遠くまで運ばれる。これにより富士山の周辺には、富士五湖と呼ばれる比較的大きく水量も豊富な5つの湖のほかに、忍野八海、白糸の滝、柿田川湧水群、湧玉池といった湧水箇所が数多く存在している。
富士山の地下とその周囲に広がる広大な溶岩地帯は、まさに天然の巨大ダムそのものなのである。
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