ニッポンのココが不思議!?
出身地でわかる?日本人の人柄
文●ミック・コレス 写真●菅原千代志
日本は狭い島国だ、と日本人は口癖のように言う。しかし一方では、その小さい面積の地域ごとにさまざまな性格や気質がある、と信じているふしがある。「東北の人は粘り強い」「東京人は見栄っ張り」「大阪は金に細かい」など、その区分もとても細かく分かれていて、「県民性」という言葉まである。
僕の母国アメリカは、国土が広く歴史が浅いせいか、出身地と性格の関係について取りざたされることはほとんどなかった。しかし、日本に10年住んでみて、性格の地域差はやっぱりあるのかなと思えてきた。たとえば、北は岩手から南は鹿児島まで、日本中をヒッチハイクで旅をした時のこと。車が止まって僕を拾ってくれるまでの時間が、地域によって大幅に違ったのだ。あえて言うなら、高知や石川では早かったが、福岡と愛媛ではなかなか止まってくれなかった。これは偶然か、それとも県民性の違いだったのだろうか。
県民性の根拠については賛否両論あるようだが、専門家は、歴史的、地理的、環境的な条件が人格形成に何らかの影響を及ぼしていることは否めないという。地域別性格を販売のエリア戦略などにも活用しているマーケティングコンサルタント、矢野新一氏は語る。「日本は、国土が南北に長いうえ山が多く、地域ごとの気候が大きく異なります。また、16世紀末から19世紀半ばまで続いた江戸時代では、全国におよそ300の藩があって、それぞれが独特の伝統やしきたりを伝えた。この地域差が、県に整理された現在でも、少なからず残っているのではないでしょうか」
さて、矢野氏やその他の著者の本によれば、愛知県民の特徴は、経済的観念が強く合理的で堅実、悪くいえばケチだというが、本当だろうか。名古屋市出身の新聞記者の蒲敏哉氏に聞いてみると、「愛知県の人は節約上手。日常生活は質素だけど、結婚式や葬式には大金を使う。子どもが結婚すると、車や家を買ってあげる親もいる。子どもに対する愛情が深いのかもしれない」と答えてくれた。また、歴史的に重要な役割を果たした人物や、現代のトヨタをはじめとする一流企業の多くを生み出したことで、愛知県の人間が国を作ったと考えていて、プライドがとても高いのだという。「東京の人は、東京以外の土地を“地方”というが、名古屋の人は、東京を“地方”という。なぜなら、名古屋が日本の中心でナンバーワンと思っているから」
取材中、自分にも当てはめて考えてみる。地元のオレゴン州は、信心深い中部地方や伝統を重んじる東海岸地方にくらべて、より開放的な気質の人間が多いかもしれない。要領のいい僕だから、オレゴン州、1年間滞在した徳島と長年住んでいる東京、それぞれのよいところをいただくとしようか。
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