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名古屋城に対して、庶民のシンボルともいえるのが大須観音だ。1617年、家康の命によって建てられ、名古屋の文教の中心とされたといい、8世紀に編纂された「古事記」の最古の写本をはじめ、多くの古典を所蔵することで知られている。しかし、城下町の繁栄に伴い、芝居や物真似、相撲などが境内で行われるようになり、東京の浅草のような庶民の行楽地になった。その名残か、今も周辺には商店街や演芸場があり、多くの人びとが訪れている。
しかし、名古屋の歴史はさらに奥深い。熱田神宮は市南部、約19万uという広大な敷地に豊かな森をたたえ、威厳ある社殿をかまえている。年間800万もの参拝客が集まるというこの神社には、天皇の位のしるしとして伝えられた三種の神器の一つ「草薙剣」が祭られている。境内に入ると、玉砂利が敷かれた参道が蜒々と続く。一歩一歩踏みしめながら進めば、カシやケヤキ、ムク、イチョウなど樹々が頭上を覆い、次第に気分が落ち着いてくる。森の中には樹齢1000年と言われるクスの巨木もあり、余計に厳かな気分にさせる。そして、最後の鳥居をくぐって本殿で参拝。心なしか、参拝し終えた人びとの顔は、おだやかに見えるから不思議だ。
名古屋はいつの時代も、人とモノと情報が集まる最先端の都市として繁栄してきた。そして今、万博を開催し世界中の人びとを迎える大都市として、新しい伝統と歴史を刻もうとしている。
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