巨大な竹カゴで覆われたパビリオン
長久手日本館
 長久手日本館は、自然素材や新しい環境技術を採用した実験型パビリオンだ。でんぷんや食品廃棄物を原料とした生分解性プラスチックの外壁パネルの採用、新エネルギーによる電力供給など、環境に配慮した技術の宝庫である。
 なかでも、来場者の目をひくのは、パビリオン全体を覆う「竹カゴ」だ。長さ90m、幅70m、高さ19mの巨大な竹カゴは、世界でも類を見ない自然素材の構築物だ。日差しを和らげ、風を通す木陰のような環境を作り出し、建物内の熱を23%軽減することが想定されているという。
 では、なぜ「竹」という素材が選ばれたのか。強くて軽くしなやかで、見た目にも美しい竹は、古くから建築の材料や、カゴやほうきなどの日用品、茶道具など工芸品として使われてきた日本人にとっては馴染みの深い素材。一方、竹は成長が早く、しかも次々と生えてくる生命力豊かな植物でもある。日本人に身近な存在で、しかも愛知万博のテーマのひとつ“循環型社会”をよく表す格好の素材というわけだ。
 竹カゴの構造は、直径約6cm、長さ約7mの真竹2本を束ねて編むように全体を組み上げ、さらに、竹を割いたものを細かく編んで、その上を覆う。その編み方は、日本の竹細工の伝統的な「六つ目編み」。構造的にも丈夫で見た目にも美しい。
 ところが、六つ目編みをする際、割いた竹を編むのは簡単だが、竹そのままではとても難しい。これを解決したのが、EDS(エコロジー・ドライ・システム)工法だ。
「特殊な装置を使い、いわば“燻した”状態にすることで、素材の分子構造を変える。この工法によって、曲げ加工が可能になり、しかも構造的にも強く、さらには、割れやカビの発生、表面劣化などの短所を克服することに成功しました」(EDS研究所 代表取締役 石井幸男さん)
 巨大な竹カゴは、日本の伝統技術と先端技術の融合により生み出された新しい構造物なのだ。

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