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京都には、日本の伝統工芸の粋が集まっている。京都が都となった1200年前から、職人たちが何代にもわたって磨き上げ、伝えてきた技術の歴史がある。
中でも西陣織は、京都の伝統産業の代表的存在。古くから機織は盛んだったが、都が建設されると官営の織物工房が営まれ、宮廷や貴族たちの織物を作った。中世の戦乱で荒廃したものの、16世紀に復興する。その後は武士や大商人の需要に応じて、金糸や銀糸を織り込んだ豪華な織物が生み出され、いまも帯や着物、ネクタイなどにも仕立てられている。
仏壇・仏具を作る技術が発達したのも、寺院の多い京都ならでは。京仏壇・京仏具は、日本で最高級の品質を誇り、木工技術や彫刻、漆工芸、金箔工芸など多彩な技がひとつになって完成する伝統技術の集大成だ。
9世紀半ばに京都で生まれた京扇子は、王朝貴族に不可欠の持ち物だった。やがて庶民生活にも取り入れられ、舞や能などの芸能、また茶の湯にはなくてはならない小道具になった。涼を呼ぶ夏扇だけでなく、花鳥風月などを描いた装飾用の扇も作られている。
この他にも、長い歴史の中で培われた京都の工芸品は数多い。帯締め(帯の上に締めるひも)などに使われる美しい京組ひも。気品漂う陶磁器の京焼(清水焼)。さらに、漆器、京唐紙、友禅染、京うちわ、竹工芸品、京人形……。数え上げればきりがない。
こうした品々を手に入れるには、まずはそれぞれの工房や専門店を訪ねてみたい。京都には創業数百年という老舗も多く、店構えや包装紙にも歴史が感じられるからだ。しかし手軽に探すには、市内のデパートや雑貨店(四条河原町や新京極の商店街に多い)、あるいは清水寺、銀閣寺などの有名寺院や、東映太秦映画村、嵐山などの観光地の土産物店をのぞいてみたい。きっと気に入った京都ならではのお土産が見つかるはずだ。
上級者なら、「弘法市」で掘り出し物を探してみるのもいい。弘法市は、毎月21日、五重塔で有名な東寺の境内で開かれる骨董市。陶磁器、古家具、古着、漆器、着物のハギレなど、多彩な品物が所狭しと並ぶ。店の数は1200以上にのぼり、食べ物の屋台も出て賑わいを添える。早朝から夕方まで、市は品定めをする人たちや観光客であふれる。
京都の食材は、「京の台所」と呼ばれる錦市場で。東西390mの通りに、鮮魚、青果、惣菜、お茶、漬物など約130の店舗がひしめく。鍋や包丁といった台所用品店もある。食材はどれもおいしそうで、選ぶのに目移りするが、新鮮な京野菜、それらを塩や調味料で漬け込んだ京漬物、また、豆腐や湯葉(豆乳を煮た時にできる薄い膜)、麩(小麦粉のたん白質を精製して練ったもの)など、この町独特の食材がそろう。
京都の旅は、日本の伝統技術がぎゅっと詰まった、あらゆる美しい物に出会える旅でもある。さて、あなたなら、どれを買って帰りますか。
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