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今回、私は身をもって禅を体験するために妙心寺にやってきた。日本の文化に強い影響を及ぼした禅を体験するには、絶好の機会だ。
妙心寺の坐禅体験「大衆禅堂」は、京都で最も厳しいという話を、私はここに着いて初めて知った。だけど、せっかくだから禅門の日常着「作務衣」も入手し、やる気満々で説明会に臨んだ。説明会では、指導担当の石田信行師から、坐禅の基礎、姿勢や呼吸について説明を受ける。「今晩は不眠不休で坐禅やります」と堅い顔で言われたが、すぐにニッコリ。まったく冗談でよかった……。
その後、すぐに禅堂で坐禅が始まった。夕方から夜にかけて、初心者もベテランに交じって坐禅を組む。
雑念を払い、半眼にして坐る。なんとか集中しようと頑張る。そうはいっても雑念に追われ、今度は数分とたたないうちに足がしびれてくる。そんなこんなで、坐禅1回20〜30分、それを3〜4度繰り返す。
坐禅の最中、お坊さんが薄くて長い棒を持って、ゆっくりと歩き回る。不意に「バン!」という痛そうな音が禅堂に響き渡る。警策と呼ばれるこの棒は、修行者の目を覚ますため、あるいは姿勢を直すために使われる。これで叩かれたり、あるいは自ら叩いてもらったりする。
せっかくだからと、ついお願いした。「バン!」。やっぱり痛い。でもちょっとヒリヒリした程度だ。しかし、そう思うことすら雑念に繋がるから、まだまだ修行が足りない。
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