ではここで、基本的な製作工程を、オムライスを例にとって説明しよう。
(1)顧客から預かった実物のオムライスを箱に入れ、シリコンを流し入れて型を作る。(2)固まったシリコンから実物を取り出す。(3)型に液状のプラスチックを流す。(4)オーブンで熱して固める。(5)型から取り出し、色づけして、プラスチック製の“ソース”をかけ、再度、オーブンで熱して固めて出来上がりだ。
すべての料理を型どりするわけではない。例えば、料理や飲み物に添えるトマトやレモンは、スライスやくし型に切ったものという具合に、切り方や大きさも多種多様な“食材”がそろえられていて、それらを組み合わせて作る場合もある。
イワサキ・ビーアイでは、作り方をマニュアル化し、より早くレベルを上げられるよう指導しているが、当然100%完璧なマニュアルはない。
「教えられたとおりに作るだけでなく、一人ひとりが常にどう加工すれば本物に近づくか、おいしそうになるか。創意工夫することで、作り方は常に進化しています」(製作部・清水洋一さん)
食品サンプルは通常は受注生産で、顧客の要望でさまざまなものが作られる。店頭に置かれるものだけでなく、例えば、コマーシャル撮影用のアイスクリームの依頼もある。撮影中に、本物だとすぐに溶けてしまうので、いつまでも溶けない、おいしそうなアイスクリームのサンプルが、その真価を発揮するのだ。
店頭のショーケースにずらりと並べられた食品サンプルの数々。その前で品定めをする客。日本でよく見られる料理店での光景だ。そういった店で客は食品サンプルを見て、まず「目で味わう」ことから始める。これは日本独特の文化といえるだろう。そして、食品サンプルはここ10年ほどで近隣国の韓国に定着し、さらには中国でも広がっているという。日本の食文化のひとつ、食品サンプルはいまや海外へ進出し始めているのだ。
|
| close |