地球上で最速の男を決めるモータースポーツの頂点、F1グランプリ。世界でわずか20名程度しか上ることの許されないその栄光の舞台に、この2004年、LUCKY STRIKE B・A・R HONDAの正ドライバーとして参戦し、多くのファンから熱い注目を集めているのが佐藤琢磨さん(27歳)だ。
 「10歳のとき、F1の日本グランプリを初めて生で見て衝撃を受けました。そのときからモータースポーツに興味をもつようになり、漠然とですがいつかは自分もF1ドライバーになりたいと思っていました。ですからF1の舞台で戦うことができる今の環境をとても幸せに思っています」
 F1ドライバーの多くは小さな頃から英才教育を受けて育つ。それに対し、佐藤さんは異色の経歴の持ち主だ。なにしろ高校で自転車競技を始め、自動車の免許を取ったのは18歳、レーサーへの第一歩ともいうべきレーシングカートに乗ったのはなんと19歳のときだという。
 「10代の頃、僕にとっては自転車がクルマの代わりだったんですよ。19歳で鈴鹿レーシングスクールの存在を知り、初めて一歩F1に近づくことができました。そのときは、やって駄目なら諦めよう、でも自分自身はけっして駄目だとは思わない、そんな感じでしたね」
 その意気込みどおり、佐藤さんの才能はまたたく間に開花する。1997年、鈴鹿レーシングスクールを首席で卒業すると、98年には全日本F3選手権に参戦。まもなく渡英し、2000年にイギリスF3に参戦して優勝4回、シリーズ3位。翌年には26戦中、優勝12回で日本人初のシリーズチャンピオンを獲得。そして2002年にはJORDAN HONDAよりF1に参戦、最終戦の日本グランプリで5位に入賞し、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ。
 「イギリスのF3というのは、F1への登竜門なんです。注目度が高くて、そこで勝つことがF1につながります。ですから僕にとってイギリスは勝負の場でしたね」
 佐藤さんは現在もイギリスに在住し、そこを起点に世界各地を転戦する日々を送っている。
 「今年の目標は、自己ベストの予選7位と本戦5位を更新すること。それからトップ3チームに挑戦して年間チーム4位になること。もちろん僕自身、いつかはF1の表彰台に上りたい、優勝したいと思っています」

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