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いまどき日本列島
歩きタバコに罰金!
文●坂上恭子 写真●加藤義明 写真提供●毎日新聞社
健康への関心が高まるなか、全国的に禁煙の動きが活発になってきている。タバコには約40種類もの発ガン性物質が含まれ、肺ガンや咽頭ガンなどを引き起こす一因といわれている。喫煙者本人の疾病だけでなく、近年、特に問題となっているのが、非喫煙者の受動喫煙だ。受動喫煙とは、喫煙者のタバコから出る煙を吸うことで、喫煙したのと同じくらいの悪影響があるといわれている。
多くの企業や官公庁が集中する東京・千代田区では、受動喫煙の防止などを目的として、2002年10月に「生活環境条例」を施行した。駅周辺や通勤・通学路など、人の往来が激しい場所を「路上禁煙地区」に指定し、路上での喫煙はもちろん、タバコを捨てること(ポイ捨て)も禁止。違反者には2万円以下の過料を科すというものだ。
「私どもの千代田区では、1999年に『ポイ捨て条例』を施行し、数々の広報活動を行ってきました。しかし、喫煙者のモラルに訴えるだけでは限界があり、罰則付きの条例を施行することになったのです」(千代田区・生活土木部生活環境課)
千代田区では、週末や夜間を含む毎日、生活環境課の職員がパトロールを実施している。2003年9月までに、路上で喫煙した2300人以上が過料の対象となった。この試みは全国的に話題となり、同様の条例を検討する自治体も増えている。
「ポイ捨ての定点観測では、施行前に比べて9割減という結果が出ています。禁煙の議論が全国に広がったという点でも、意味があったと思います」と同課は分析する。
また、政府は2003年5月に「健康増進法」を施行。法律に、デパートや劇場、飲食店など、多くの人が利用する施設では「受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない」という項目を盛り込んだ。これを受けて、東京の私鉄では駅構内の全面禁煙に乗り出し、大手飲食店チェーンのリンガーハットでは全店での全面禁煙を始めるなど、公共の場で禁煙への取り組みが活発になっている。
日本中でどんどん高まっていく禁煙の波。喫煙者には、肩身の狭い世の中になりつつあるようだ。
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