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日本は環境に優しい エネルギーを創出する
文●槌屋治紀(システム技術研究所所長) 写真●河野利彦
1997年に京都で行われた地球温暖化防止締約国会議(COP3)において、日本は2010年の温室効果ガス排出を1990年レベルから6%減少させると約束した。
温室効果ガスの80%以上が二酸化炭素であり、これを減少させる第一の方法は省エネルギーである。それに向けて、技術向上によるエネルギーの効率化が進展してきた。住宅には断熱性の高い壁材や二重ガラスが使われ、エネルギーの利用効率が高い電気冷蔵庫やエアコンが開発されている。電球型蛍光灯は、白熱灯と同じ明るさで電力消費は4分の1、寿命は6倍であり、需要が急増している。産業界では、送風機などの電力消費が半分以下になるインバータ制御モータが導入されている。日本全国に98万基ある交通信号に発光ダイオードを使うと、電力消費を4分の1にできるし、いまや、ガソリン1リットルあたり35q走行するハイブリッドカー(既存の自動車の2.5倍の効率)が、普通の車と見なされるようになってきた。
さらには、水素を燃料とする小型で効率の高い固体高分子型燃料電池の開発が進展している。この発電装置は大気汚染がなく、排出物は水のみである。ハイブリッド燃料電池車は、既存のガソリンエンジン車の約3倍の総合効率になると予想され、2040年頃に世界人口が90億に達して、現状の3倍の20億台の自動車が走るとしても、そのエネルギー消費は現状と同じでよいことを意味する。もちろん、この頃には石油生産が減少しており、各種エネルギー源から水素が供給されるので、二酸化炭素の排出は現状より小さくなっているだろう。
また、太陽電池、風力発電、太陽熱利用といった再生可能なエネルギーの規模の拡大も進んでいる。太陽電池は、太陽光のエネルギーを電力に変換する効率が20%に接近している。しかも、過去20年を見ると、そのコストは、電力の累積生産量が2倍になるたびに82%に低下してきている。この傾向が続けば、普通の電力コストに匹敵するようになる。日本の、特に都市部で日照の良い空き地を持つ人は、有機野菜を作るか、駐車場にするか、あるいは太陽光発電所を設置するかを思案することになるだろう。風力発電は、すでに日本でも46万kWの規模の建設が行われ、急増しつつある。バイオマス(生物資源)についても、農業廃棄物などを利用し、ガソリンなど化石燃料に混入したバイオ燃料が自動車に使われるようになろう。
現在では、日本の多くの企業が毎年、環境報告書を発行し、どれだけ二酸化炭素の排出を減らしたかを発表するようになってきた。しかし、エネルギーシステムの交代には長い時間がかかる。技術だけでなく、税制や社会制度が整備され、人びとのライフスタイルに変化を促すことができるようになれば、エネルギーの利用効率が高く、環境に対する負荷の小さいシステムへと変化してゆくことであろう。
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