いまどき日本列島
大都会の中で増え続けるカラス
文●坂上恭子, 写真●加藤義明, 写真提供●毎日新聞社

 ここ数年、東京などの大都市をはじめ、全国各地でカラスの増殖による被害が拡大している。羽音や鳴き声による騒音のほか、猫などのペットが襲われたり、人間も頭を突かれてケガをしたりと、深刻な被害も出ている。
 東京都の調査によると、1985年の都内のカラスの生息数は約7000羽。その後、加速度的にカラスが増殖し、2001年には3万6500羽にまで増えた。
 カラスの増殖はゴミ問題と密接な関係がある。東京都では1994年以降、ゴミ処理対策の一環として、それまでゴミ収集に使用していた黒色のビニール袋から可燃性の炭酸カルシウム製のゴミ袋への移行を進めてきた。この時期は、カラスが急増した時期と一致する。炭酸カルシウム製の袋は、半透明で中身が見えるため、カラスが中身を荒らしやすく、生ゴミをエサにして急激に増殖したものと考えられている。
 東京都では2001年にカラス対策プロジェクトチームが発足し、本格的なカラス対策に乗り出した。現在、東京都では、ゴミ集積所への防鳥ネットの設置や夜間収集などのゴミ対策と、捕獲の双方向から対策を進めている。
「ゴミを捕食できないようにすれば、東京からカラスは減るかもしれません。しかし、ほかの地域に移動したり、エサ不足から小動物などを捕食したりする可能性もあり、ゴミ対策だけでは万全とは言えません。カラスの生息数を適正な数に戻すためには、捕獲もやむを得ないのです」(東京都環境局・岩崎浩美さん)
 この対策が功を奏して、2002年末の生息数調査では、前年より約1100羽減の3万5400羽まで減少した。それでも、東京都が適正数とする7000羽にはほど遠く、今後も対策の継続が不可欠だ。
「カラスの増殖によってウグイスやツバメといったほかの野鳥が東京から姿を消すなど、生態系にも影響を与えています。でも悪いのはカラスではなく、あくまでゴミを増やし続けた人間。今になってそのツケが回ってきているのです」と岩崎さんは言う。
 カラスによる被害が問題視される中、いちばんの被害者はじつはカラスなのかもしれない。

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