日本人は古くから漫画に親しんできた。12世紀に描かれた絵巻物『鳥獣人物戯画』甲巻の簡略化・誇張化表現は、現代の漫画と変わらない。漫画は絵巻物のような肉筆で描かれてきたが、江戸時代(1603〜1868)になると、木版技術の進歩により、版本・版画として生み出されていく。江戸中期の1720年、大阪で木版刷漫画本が出版される。商品としての漫画の登場である。日本はアジアで最も早くから庶民が漫画を楽しむ国になったのである。
 漫画は、絵を簡略化・誇張化して見せる技術が基盤であるが、もう一つ「動き」を表現する技術が加わって、その表現内容を豊かなものにしてきた。それは、アニメの原点であると言える。そうした日本人の絵を動かそうとする衝動のいくつかを紹介してみよう。

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