ニッポンのココが不思議?!
どこへ行っても、携帯電話の
画面を見つめる人ばかり? 文●ミック・コレス, 写真●菅原千代志
携帯電話の利用は、地球規模で広がりつつある。だが、日本ほど、携帯電話が人びとの生活に深く浸透している国はあるだろうか。もっぱら「ケータイ」と短く呼ばれるこの小さな機械は、日本人にとって単なる通話の道具ではない。多くの人びとが、路上で、電車の中で、自転車に乗りながら、一心にケータイの画面を見つめている。ある女子高校生に聞いたところ、「ケータイは、Eメールをやりとりするのに使っています。ほとんどの友だちがケータイを持っているし、一度使い出したらやめられなくなりました」と答えてくれた。
日本でのケータイ利用者は、近年約8千万人まで膨らんだ。つまり、老人や赤ん坊を除く人口のほぼ全員が持っていることになる。そして、たいていの機種では、インターネットへの接続やEメール交換ができる。博報堂生活総合研究所の鷲田祐一さんは、多機能ケータイが、日本人の生活に大きな変化を及ぼしたと分析する。みな一斉に、この小さな画面から情報を得たり、友だちの輪を広げたり、ゲームに興じたりするのに夢中になってしまったのだ。研究所の調査では、2005年までに、利用者の15%以上がカメラや辞書や財布の代わりにケータイを使うようになるだろうと予測している。日本国際大学マーケティング部の助教授、フィリップ・サイデルさんは、「コミュニケーションは、人間にとって普遍的な欲求です。しかし、とりわけ日本には、最先端の機器をふんだんに使ってコミュニケーションができる贅沢な環境があるのです」と語ってくれた。
しかし、ケータイの進化には、マイナス面もある。
「電車の中で、年寄りも若者も揃って下を向き、必死にEメールを打ったり読んだりしているのを見ると、日本の文化は壊れてしまったのでは、という気になる」と言うのは、毎日新聞の記者、足立純子さん。現に、時計やカメラがいらなくなったり、通信料を払うためにカラオケやCD、本などにお金を使わなくなったりすることで、さまざまな産業に打撃を与え始めている。
とはいえ、ケータイはこの先も進化し続け、日本人の生活を変えていくに違いない。携帯電話の技術評論サイトを主宰するダニエル・スクーカさんは、「ケータイの技術に関しては、日本は他のどの国より進んでいる。これからも、ますます洗練されたコンピュータ機器へと変身を遂げていくだろう」と明言した。
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