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山間の静かな湯治場
秋田県 鶴の湯温泉
秋田県と岩手県との県境にそびえる乳頭山(1478m)。その山麓は、温泉が点在する乳頭温泉郷として知られ、古い湯治場の面影を伝えている。
なかでも最も古い「鶴の湯温泉」は、深い山懐に包まれた静かな温泉の一軒宿である。その昔、鶴が温泉につかって傷を癒していたのを地元の猟師が見て、湯小屋を建てたのが始まりという言い伝えから、その名がついた。
宿の記録には、1638年に、当時の秋田の領主が湯治に訪れたことも残されている。
収穫を終えた秋には、近隣の農民たちの湯治場として賑わった。彼らは自炊をしながら10日ほど泊まり、ゆっくり体を癒したのである。1953年から宿で食事も出すようになると、遠方からも観光客が来るようになった。
とくに最近は、茅葺き屋根の建物で、各部屋に囲炉裏が切られている昔ながらの宿のたたずまいが評判を呼び、都会からの客が増えた。ブナ林を抜ける風の音を聞きながら露天風呂に入っていると、本当に時間を忘れるほど心が解放されていく。
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