最近の温泉旅館の大浴場は、午前中から昼にかけての清掃時間を除いて一日中入れるところが多い。また、浴場に大小の差がある場合は、男女どちらにも不公平なくということで、時間を決めて入れ替えることがある。
 部屋に落ち着くと、仲居さんがお茶を入れてくれる。お茶には、たいてい地元産の和菓子が添えられているが、漬物や佃煮など辛口のものの場合もある。この時、夕食の時間を確認する。ちなみに、宿泊料金も一泊二食付きに設定されている場合がほとんどだ。最近は、食事をする場所が別に設けられている旅館も増えてきたが、昔ながらの温泉旅館では、食事はたいてい部屋に運ばれてくる。
 浴場に行く時は、浴衣に着替えていくのがいい。湯上がりの火照った体には、浴衣の木綿の肌触りが心地よいからだ。肌寒い季節には、湯冷めしないよう、浴衣といっしょに用意されている羽織や丹前を羽織ることも忘れずに。日本のホテルには必ず浴衣が寝間着として備え付けてあるが、この伝統のルーツはここにある。普段、ホテルに泊まる時は、浴衣は使わない私だが、温泉旅館では、やはり浴衣に羽織か丹前でないと気分が盛り上がらない。
 到着してまずひと風呂浴びて、夕食後、眠る前にもう一度、さらに翌朝も。温泉旅館に泊まると、たいてい一日に何度も温泉に入る。せっかくの温泉だからと、つい回数を稼ぎたくなるが、気分が悪くならない程度にとどめておこう。温泉に入りすぎると具合が悪くなってしまうことがあるが、これを「湯あたり」という。風呂場の天井が風を通すように設計してあるのも湯あたり防止のため。冬は寒く感じるが、これも訳あってのことなのだ。
 草津の湯は、特に成分が強いので注意とのこと。効能としては、殺菌力が強いことで知られ、抗生物質のなかった時代には、感染症の治療に重宝されたのだそうだ。


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