炭焼き
 石油や石炭など化石燃料が現れるまで、燃料の主流は森や林で切ってくる薪だった。しかし森に恵まれた日本では、薪に加えて炭が用いられてきた。クヌギやナラなど、建材にならない雑木を蒸し焼きにした炭は、煙が出ず、火持ちがよく、軽くて運搬しやすい。こうしたことから、暖房や調理に炭が普及してきたのだ。
 和歌山県に住む大里幸弘さんは、土と石だけで作った昔ながらの窯で炭を焼く。原料は周辺の森から集めたクヌギやナラ、竹など。原料の木を窯に入れ、約800℃でいぶし焼きにする。炭ができるまでに3〜4日。その間、熱源となる薪をくべながら、片時も目を離すことができない。
 「煙の具合を見ながら調整するのが難しいところ。煙が原料に回らないと炭化しないし、油断していると薪の火が燃え移ってしまうこともあります」
 第2次世界大戦後、燃料は石油やガスが主流となり、炭の生産量は急激に落ち込んだ。しかし近年、「炭火焼き」を謳い文句にする料理店が増え、またキャンプの道具としても需要が増えている。また、脱臭効果や、炭を焼く時に出る「木酢液」が花粉症や肌に効能があるなど、思わぬ効能がさらなる人気に拍車をかけている。

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