再び強まる森林とのきずな
 第2次世界大戦後、経済の発展に伴い人びとの生活の中で森林を意識する機会が急激に減少し、森林は遠くから眺める存在となっていった。しかし、社会が成熟化するにつれて、生活にゆとりと潤いを求めるようになると、人びとは再び森林に触れ合おうとするようになっている。
 森林には、樹木が放出するフィトンチッドという物質があり、森林浴により爽快な気分を得られることが知られている。そして、さまざまな生物が関係しあって生命活動を繰り広げている森林は、自然を学ぶだけでなく生きる力を吸収できる教育の場としても最適である。また、最近では、高齢者の生き甲斐を見いだす場や、病人のリハビリの場としても利用が始まっている。
 一方、都会に生活する人びとを中心に、自ら積極的に上流の森林づくりに参加しようとする活動が増えている。休日に森林に分け入り、ボランティアで苗木を植えたり、下草を刈ったりするサラリーマンは、子どもたちの時代の環境を守ろうと熱心に汗を流す。漁民たちも豊かな海を取り戻そうと100年後の結果を夢見て森林づくりに熱心だ。
 日本で育まれた森林と木の文化は、時代が変わった現在、国民全体で森林を守り育てていくという意識となってその輪をひろげつつある。


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