森の国・日本
 飛行機から日本列島を見下ろすと、意外に森林の多いことに驚く。日本は世界有数の人口密度をもち、産業が発達しているにもかかわらず国土の67%が森林に覆われている。先進国といわれている国々の中でこれほど森林面積の比率が高いのは、フィンランド、スウェーデン(両国の人口密度は日本の約1/16〜1/22)くらいで、その他の先進国はすべて50%以下でしかない。
 日本列島は、南北に3000kmにわたって細長く伸び、森林も寒冷な地域に育つ針葉樹林から落葉広葉樹林、常緑広葉樹林、亜熱帯に見られるマングローブ林まで分布し、変化に富んでいる。また、かつて薪や下草を採った里山、人が植えた人工林、奥山の天然林まで、人びとの生活とのかかわり度合いによっても異なった姿の森林を見ることができる。
 森林を構成する樹木も多様で、四季を通じてさまざまな変化を見せる。特に落葉広葉樹林の秋は、赤や黄色の鮮やかな紅葉に彩られる。
 このような森林が見られる国は、世界中で日本以外にないといってもよいほどで、日本はまるで森林の博物館のような国である。

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