すらりとした体つき、黒くて長いくちばし、そして美しい羽をもつトキ。とくに、空を飛ぶトキが、オレンジがかったピンク色の羽に太陽の光を受ける時、さらに美しさを増す。優雅なこの色は、日本ではトキ色と呼ばれ、古くから人びとに親しまれてきた。
トキは、コウノトリ目トキ科に属する鳥。全長(くちばしから尾羽の先まで)は約75cm、翼は広げると約140cmにもなる。群れで森に巣を作り、水田や湿地で、夏は昆虫類、冬は小魚や貝などを食べる。
もともと東アジアに広く生息していたトキの名に「nippon」とついたのは、19世紀の初め、ヨーロッパの学会に初めて紹介されたトキが日本産だったことによる。その後、1922年、日本鳥学会は学名を「Nipponia nippon」と決定し、世界に向けて発表した。しかしトキの名が広く知られるようになったのは、皮肉にも、絶滅寸前となってからだ。現在、野生のトキは、中国の陝西省洋県のみで生息している。
19世紀の終わり頃から、日本では、乱獲や乱開発により、トキが激減する。1930年代初めには石川県能登に5〜20羽、新潟県佐渡島に60〜100羽になったといわれる。52年に国の特別天然記念物、60年には国際保護鳥に指定され、その間、佐渡では村が餌場を作ったり、国がトキの営巣地を国有林として買い上げたりしたが、70年代後半には10羽に満たなくなってしまった。