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大谷石採掘場跡地
関東地方の北部、栃木県宇都宮市周辺の地下には、大谷石と呼ばれる凝灰岩の層が広がっている。風化や火に強く、また軟らかくて切り出しやすいため、古くから石垣や建築土台などの石材として利用されてきた。19世紀後半頃からは地下深くで地層に沿って石を切り出す方法が開発され、現在、多くの採掘場やその跡地が地下にある。
その中の一つが1986年、70年近い採掘の歴史を閉じ、大谷石資料館として生まれ変わった。地下30mにサッカー場二つ分にあたる2万m2もの巨大な空間が広がり、大谷石の成因や分布、採掘の歴史などが展示されている。しかし人びとを引き付けているのは、幾何学的に石が切り出された採掘場跡の規模と、幻想的な雰囲気。そこでは美術展やコンサート、能の公演、映画やテレビの撮影も行われる。93年には結婚式場「石の教会」もつくられ、さまざまな形で人びとに親しまれている。
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