雑煮は、鶏肉や魚、野菜などを具とした汁に、餅を入れて煮た料理で、日本の新年の食卓には欠かせない一品である。正月に雑煮を食べる習慣は、大晦日(12月31日)に神や仏に供えた餅を、元旦(1月1日の朝)に具と汁を加えて食べることから始まったといわれている。15世紀中ごろから伝わる日本の代表的な年中行事のひとつだ。
雑煮とは、「いろいろな食材を一緒に煮る」という意味。地域によって、さまざまな雑煮が作られているが、具には、消化がよく、栄養価の高い食材がよく使われている。
東日本で作られる雑煮には、こんがりと焼いた角切り餅を入れ、具には小松菜などの青菜、鶏肉、かまぼこなどを使うことが多く、汁は醤油と塩のすまし仕立てが一般的である。一方、西日本では、餅には小さな丸餅を焼かずに煮て用いる。具は青菜や鶏肉に、大きな里芋の皮をむいて丸ごと、または輪切りにして加えることが多い。京都や大阪周辺では白味噌仕立ての汁が主流だが、それよりも西では、すまし仕立てが多くなる。また、日本各地には、鶏肉以外にも塩ブリやイクラ(サケの卵)を具にしたり、甘い小豆餡入りの丸餅を使う雑煮もある。
「どんな雑煮を食べていたか」で、その人の出身地がわかるほど、味つけや具が、地域によって異なるのはおもしろいことだ。正月は、新しい一年の家族の健康や繁栄を願う大切なとき。地域だけでなく、家庭ごとにも、それぞれにこだわりの雑煮があって不思議ではない。
地域によっては、餅と具を全部いっしょに煮てしまうところもあるが、野菜のアクが出たり、肉や魚の臭みが残ったりするので、具はそれぞれに下ごしらえしたほうがよい。鶏肉は薄く片栗粉をまぶし、熱湯にさっとくぐらせると、うまみが逃げず、汁が濁らない。かまぼこは紅白の2色を使って祝いの気持ちを込め、小松菜は「地面に根づく=子孫繁栄」を願って、細い根を残した「根つき」にする。それぞれに下ごしらえをした具は、密閉容器に入れて冷蔵庫に保存しておけば、雑煮が簡単に用意できる。
また、東北の一地域にならって、人参、ごぼう、大根、こんにゃく、里芋、しいたけ、鶏肉などを小さく切ってだしで煮込んだ「のっぺい汁」を作っておき、そのつど汁と餅を煮合わせて作る方法もある。