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茶色に染めた髪に着物姿で力強く津軽三味線を弾く二人組が、いま日本の若者たちの間で人気を博している。その名は「吉田兄弟」。吉田良一郎(25歳)と吉田健一(22歳)という実の兄弟によるグループだ。
3本の弦をもつ三味線は日本の伝統的な弦楽器。なかでも雪深い東北地方で独自の進化を遂げた津軽三味線は、太い棹の三味線に大きなバチを叩きつけるようにして即興的に演奏するのが大きな特徴だ。
「和太鼓やペルーの打楽器など異分野の楽器とセッションしたり、従来の民謡にはないリズムを取り入れたりするので、津軽三味線奏者の中でも異端児だとよく言われるんですよ。でも伝統を受け継ぎながら新しいものを作っていかないと、若い人たちには受け入れられません。僕たちのやっていることはお客さんに支持されていると思います」
吉田兄弟が三味線を習い始めたのは、ともに5歳のときから。「じつは、もともと津軽三味線の奏者になりたかった父のすすめで、出身地である北海道の三味線の先生のところに通い始めたのがきっかけなんです」と兄の良一郎さんは言う。その後、二人はそれぞれに才能を伸ばし、中学・高校生の頃には「北海道に吉田兄弟あり」と言われるほどになった。もっとも兄弟で有名になったとはいえ、二人は津軽三味線奏者として3年間、別々に活動していた。だが、1999年に吉田兄弟としてグループを結成し、アルバム「いぶき」でCDデビュー。続けて「MOVE」「Soulful」を発表。2001年には第15回ゴールドディスク大賞の「純邦楽・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、斬新な音楽性が高く評価されている。
「現在は月平均10回、年間120〜130回の公演を全国各地でこなしています。お客さんは子どもからお年寄りまで幅広いですね。2002年8月にはフランスで公演しましたが、CDデビューしてからは初の海外公演なんですよ。海外のお客さんは、僕たちの音楽を新しいものとして素直に聞いてくれるので、すごく演奏しやすいですね。今後はもっと日本でも認められて、アメリカをはじめ、海外にもどんどん行ってみたいです」
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