牛肉、じゃがいもと玉ねぎを醤油味で煮込んだ肉じゃがは、日本の家庭で作られる代表的な総菜のひとつだ。淡泊なじゃがいもに甘辛い味がからまり、牛肉のコクと玉ねぎの甘みも加わるので、白いご飯にとてもよく合う。「おふくろの味」として、男性に人気が高い肉じゃがだが、意外にその歴史は浅い。
 じゃがいもは、16世紀末にオランダ船がジャガタラ(現在のインドネシアの首都ジャカルタ)から運んできたことから、その名がついたとされる。当初はあまり普及しなかったが、19世紀末、栽培に適した日本最北の地、北海道で計画栽培が行われるようになり、その後、日本人のじゃがいも消費量は徐々に増えていった。
 肉じゃがは、1900年代初頭、日本海軍の航海中の料理として考案されたのが最初といわれる。当時は、ビタミン不足から脚気を患う兵士が多かったため、食事に野菜や肉を多く取り入れることで、兵士の健康改善がはかられた。その際に、ビーフシチューの味つけを醤油と砂糖に変えて作られたのが肉じゃがである。料理書に登場するのはそれから約70年後のことだ。
 一方、おひたしは、18世紀頃から作られている伝統料理。季節の青菜をゆでて、だしで割った醤油にひたすので「おひたし」という。だしの風味をきかせた上品な薄味が身上だが、家庭では、だしを使わず醤油をかけることも多い。
 最近では、肉じゃがもおひたしも、スーパーマーケットで出来合いのものが売られ、居酒屋などでも気軽に食べることができる。いもや青菜をたっぷりとれるこの2品を家庭で作って欲しいものだ。

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