神戸は東の横浜とともに、日本を代表する国際貿易都市だ。北風をさえぎる屏風のような六甲山地と大阪湾に挟まれ、市街は東西に細長く広がっている。
 神戸というと、多くの日本人は、“異国情緒にあふれた港町”を思い浮かべる。1000年余り昔、神戸(当時は兵庫と呼ばれた)は中国との貿易で栄えたが、17世紀半ばから200年以上にわたって外国との交易が絶たれた。そのため今日のような国際貿易港として発展するのは、19世紀後半からのこと。開港とともに、さまざまな文化が流れ込み、神戸の街には “西洋風の港町”が形成されていったのだ。
 19世紀の西洋文化の面影を伝えているのが、北野に残る西洋人たちが住んだ家「異人館」だ。北野には異人館がおよそ50軒建ち並び、そのうち20軒ほどが一般に公開されている。いずれも19世紀中ごろから20世紀初めにかけて建てられたものだ。開港当初、外国人は港に近い「外国人居留地」に住むよう決められたが、造成が遅れたため、北野にも住むことが許された。これが北野の異人館街の始まり。中でも代表的な異人館「風見鶏の館」は、ドイツの建築家によって設計され、塔の先に風見鶏があることからその名で呼ばれている。重厚な雰囲気の建物は、国の重要文化財にも指定されている。
 北野の異人館街から、港へと坂を下れば、神戸の町にさまざまな国の人びとが暮らしてきたことが実感できる。「異人館」のほかにも、さまざまな宗教の建築が見られるからだ。キリスト教会はもちろん、日本ではあまり見かけないジャイナ教寺院やユダヤ教会までがあり、荘厳な神戸ムスリムモスクが突然現れる。また、少し西の方に寄り道をすれば、極彩色の関帝廟(中国の武将・関羽を祀る)も見ることができる。神戸には、実に100以上の国々の人びとが暮らしているのだ。
 JR元町駅からメリケンロードに抜けると、すぐ右手は中華街・南京町。色とりどりの看板を掲げた中華料理店や雑貨屋などが100店近く軒を連ねる。客を呼び込む声と、おいしそうな匂いに誘われて、食べ歩きをする人が絶えない。ちなみにメリケンロードを隔てた南京町の東側が、かつて外国の商館が集っていた旧外国人居留地である。

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