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森は海の大きな栄養源
完全養殖の研究と同時に、水産資源を積極的に増やし、沿岸漁業を活性化していこうという取り組みも盛んになっている。
その一つが栽培漁業だ。魚介類の卵を人工ふ化させ、ある程度まで育てて海に放流する、というもので、タイ、カレイ、サケ、アワビ、ウニなど種類も多い。中でも、放流したあと広範囲に移動する魚と違い、湾内に留まる可能性の高い、アワビやウニなどの栽培漁業が盛んだ。
また、魚のすみかとなる漁礁を人工的につくるために、海にコンクリートブロックを沈めたり、人工給餌ブイを海に設置したりする試みもされている。
漁業協同組合によっては、魚の乱獲を防ごうと魚種別に体長制限をし、それに満たない魚は海に戻すようにしたり、一斉に漁を休む日を設けたりするところも増えた。
さらには、海から遠く離れた山に木を植える運動も、各地で行われるようになった。落ち葉は腐葉土となり、山から染み出す地下水が浄化され、飲料水や農業用水になる。その過程で、豊かな森が育んだ土の栄養が川に溶け込み、やがて海に運ばれる。この栄養分こそが、魚のエサになるプランクトンや海藻を育てるのだ。つまり、森が魚を“育てる”のである。
森が貧しければ漁場も貧しくなる。海と向き合うことで、大いなる地球の生態系の連なりも見えてきたのだ。
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