多様に進化する憩いの場所
 日本にコーヒーが初めて輸入されたのは1877年。その後、88年には、コーヒーを飲ませる日本初の喫茶店が東京・上野に開店した。当時はビリヤードなどの遊戯具も備えた社交場で、17世紀後半、パリに出現したカフェがモデルであったといわれる。以来、喫茶店は市民の憩いの場として広く受け入れられるようになり、今や日本は、世界40カ国あまりからコーヒーの生豆を38万tも輸入する、世界第3位のコーヒー輸入国となった。
 しかし、日本の喫茶店の特徴は、時代の移り変わりとともに、風俗や趣味を色濃く反映して発展した多様さにある。
 日本の多くの喫茶店では、コーヒー、紅茶、ジュースなどの飲み物だけでなく、トーストやサンドイッチなどの軽食メニューを えている。午前中にはトースト、卵、サラダなどをセットにした「モーニングセット」、昼どきには食事と飲み物をセットにした「ランチセット」をお得な価格で提供する店も多い。
 ほとんどの喫茶店でコーヒーが主力商品であるのは間違いないが、特にそのおいしさを追求しているのが「コーヒー専門店」。豆の種類、焙煎方法から淹れ方、器にまでこだわりをもち、キリマンジャロやモカをそのまま淹れたり、店独自の組み合わせや分量でブレンドしたり、さまざまな種類のコーヒーが充実している。また最近では、紅茶や中国茶の専門店も増えている。
 他にもいろいろな特色をもつ喫茶店がある。ひとつは、クラシック、ジャズ、ロックなど特定分野の音楽を流す「音楽喫茶」だ。そこは、レコードやオーディオ設備が高価だった時代、それぞれの音楽好きが集まって、コーヒーを飲みながらお気に入りの音楽に浸れる場所だった。今では少なくなったが、東京・渋谷にある「名曲喫茶ライオン」は50数年前の姿そのままに営業を続ける。正面の大きなスピーカーのそばには、クラシック音楽のレコード約5000枚、CD約1000枚が い、客のリクエストに応じる。訪れるのは昔からのファン、休憩時間のサラリーマンなどさまざまだ。

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