いま、遠山さんが理事長を務める日本沙漠緑化実践協会では、中国・内モンゴルでゴビ砂漠の5地域にポプラやサジなどの果樹の植林を進めている。植えた木はすでに1000万本を超える。
遠山さんは、20年ほど前、いちはやく高分子吸水性樹脂に注目し、砂漠の農地化に活用したことで知られている乾燥地農法の専門家だ。土に混ぜる樹脂の比率を割り出し、樹脂を顆粒状にするなどの工夫をして、その技術を確立した。
「吸水性樹脂は半年もすると水素と炭素に分解されて、環境にも影響を与えないんですよ」
これまでに、メキシコ、エジプト、アラブ首長国連邦などの砂漠で農地をつくってきた。
「砂漠といっても、いろいろな特徴があるんです。メキシコは海岸性の砂漠だし、エジプトやアラブは暑い砂漠です。ゴビは寒い砂漠だといえます。いまはどこに呼ばれても、そこを緑化する自信ができましたね」。遠山さんは、静かにそう語る。