日本の本州と四国を結ぶ明石海峡大橋は、全長3911mの世界最長の吊り橋。巨大な橋を支えているのは、世界最強かつ最重量のワイヤケーブルだ。1本のケーブルには、直径5.23mmのワイヤが3万6830本も束ねられ、その重量は約2万5000tにもなる。
約70年間にわたり、橋梁用ケーブルには1平方mmあたり160kgの力に耐えるワイヤが世界中で使われてきた。だが、明石海峡大橋では世界最大の鉄鋼メーカー、新日本製鐵が新たに開発した180kg級と200kg級のワイヤが使用されている。
「日本の家電や自動車メーカーが求める鉄の品質基準は、非常に厳しい。しかしそれに応えてきたことで、高機能の鉄を開発・製造する技術では、日本が世界のトップに立っているのです」(新日本製鐵・広報)
イタリアのメッシナ海峡や、スペインのジブラルタル海峡では、明石海峡大橋よりはるかに長い橋が計画中だ。その実現には220kg級ワイヤが必要で、すでに研究は始まっている。「鉄の強度の極限に迫る夢への挑戦」(新日本製鐵鉄鋼研究所・高橋稔彦さん)は今も続いているのだ。