世界最小のICチップ
日立製作所
 工業製品の小型化・精密化は日本のお家芸だ。なかでも最近、特に注目されているのが超小型のICを作る“半導体の微細化”技術。日本企業が、世界を大きくリードしている分野だ。日立製作所が作った世界最小のIC「ミューチップ」は、縦横ともに0.4mmで厚さは0.06mm。砂の粒を薄く切ったほどの大きさしかない。この中に128ビットのROMと無線通信用アナログ回路、超小型アンテナが入っているのである。
 「開発のきっかけは、ニセ札を見破る技術を作ることでした。紙の中に埋め込める大きさで、読み取り装置と無線通信ができるようにしたのです。無線用の回路がなければ、さらに小型化も可能です」(日立製作所・広報部)。読み取った情報は瞬時にコンピュータに送られ、真贋が判定される。チップの情報は書き換えが不可能で、紙や物の中に埋め込まれてしまうため偽造はきわめて難しい。  日本の技術は、得意分野に磨きをかけて、さらに「微小な」世界へと向かっている。

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