フルートの音色が静かに流れる作業場で、約60名の職人がひとつひとつ丹念に部品を作っている。村松フルートは、世界の演奏家たちに愛されるフルートのトップブランド。手作業のため、生産数は年間4000本と多くはないが、ジェームズ・ゴールウェイをはじめ、世界のプロ演奏家の約6割に愛用されている。
1923年、創業者がフルートの製作を独学で始めたころは、フルートを吹ける人が、日本に15人ほどしかいなかった。以来、「演奏者の表現を素直に音にする道具」という優れたフルートの条件が追求され続けている。なぜ手作りを続けるのかを伺うと、「もともと小さな市場。採算を考えた中途半端な機械化では、完璧な道具は作れないんです。その点、人の手というのは便利なものだとつくづく感じますね」と村松治社長は答えてくれた。
東京・新宿にある同社の店舗には、フルートのほか、2万曲ものフルートの楽譜が販売されている。世界中のフルート演奏家が、来日した際には必ず一度は訪れるという店だ。