特集
超一流選手も愛用する テニスラケットの合成ガット
ゴーセン
文●坂上恭子 写真●森竹 隆
「世界のラケットスポーツを変えた」といわれるゴーセンのガット。羊や牛の腸を使っていた従来の天然ガットに代わり、同社がナイロンを原料としたシンセティックガットの開発に着手したのは1950年代の後半のこと。「合成ガットは天然ガットに比べて伸びやすく、強度も劣るといわれていました。強くて張りがあり、『打ち味』といわれる感触の優れた糸の開発に苦心しました」(松王清志社長)
 1973年には天然ガットと同レベルの強度をもつガットの開発に成功。
99年には環境対策のために、トウモロコシを原料とした生分解が可能なガットの開発にも成功した。シンセティックガットのうち、世界の6割のシェアを占める同社のガットは、アンナ・クルニコワ(ロシア)をはじめ世界の一流選手たちも愛用している。材料が手に入りにくく、コストも高い天然ガットを、同社の製品が凌駕する日も近いかもしれない。

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