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江戸時代の将軍の居城、江戸城の天守閣。17世紀前半の江戸を描いた『江戸図屏風』より(国立歴史民俗博物館蔵)
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日本人はなぜ城が好きか
もっとも、造形美とか、歴史を感ずるというだけでは、寺院建築や神社建築などと同じである。
しかし、日本人は、寺院や神社とはちがって城が好きである。 それはどうしてだろうか。 第一に、城にロマンを求める人が多いという点があげられる。 城には、たしかに、天守閣にみられる絢爛豪華という側面と、松尾芭蕉(1644〜1694)の俳句「夏草や兵どもが夢のあと」という世界が同居している。 武将たちの興亡の舞台となったのが城であり、落城伝説といった悲話も含め、さまざまに語り伝えられてきており、実際、城を訪れれば、その雰囲気を肌で感じ取ることができる。 二つ目として、城を訪れることで、先人たちの知恵と工夫の足跡をたしかめることができるという点があげられる。 塀に穴をあけ、そこから鉄砲を撃ったり、槍をくり出すことができる仕掛けとしての狭間もそうだし、敵が一直線に城内に突入できないように、城門を工夫して屈曲をつけていたり、植えられている樹木一つとっても無駄がない。 櫓や天守閣に入れば、石落しなどの工夫もみられ、中世・近世の武将たちや、実際に城造りに携わった職人たちの思いが鮮やかによみがえってくるのである。 しかし、何といっても、最大の理由は、城がその土地の人々にとって、シンボルとして愛され続けてきたという点であろう。 第2次世界大戦の最末期、1945年の空襲でかなりの城が炎上してしまったが、その後、地元の人々の要望で復興がはかられ、天守閣が復元されたことは、そのことを雄弁に物語っている。 また、天守閣などの建造物はなく、堀と石垣だけであっても、城は人々に心の安らぎを与えてくれている。 |
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