考える新幹線
N700Aのもう一つの特長が、新幹線自らが線路の先の状況を考えながら加減速する定速走行装置です。路線のこう配やカーブ、トンネルなどの地形データがあらかじめインプットされていて、そのデータで地形の影響などを予測しながら速度を指示する信号に沿ったスピードで走行します。通常時は運転士が運転しますが、悪天候などでダイヤが乱れた時など、この機能を使えばこれまでよりも遅れを速やかに回復させることができます。
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N700Aの運転席
東海道新幹線は現在、年間約12万本の列車が走っていますが、運行1列車が遅れる時間は平均で36秒という驚異的な正確さです。この装置の導入で、さらに正確な運行ができるようになります。
また、ブレーキを掛ける時にモーターで発電し、その電気を架線に流してほかの車両が加速する際に使う電力回生技術などで、1999年に導入した車両より電力消費量を19%低減させるなど、省エネにも配慮した車両となっています。
時速320?`の最速車両
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E5系は、時速320キロで走行する国内最速の新幹線(JR東日本提供)
東京―新青森間の東北新幹線には2011年からE5系という新型車両がデビューし、「はやぶさ」などの名前で運行されています。最高速度は、国内最高の時速320?`です。高速運転による騒音を防止するため、運転席がある先頭部分は15?bものロングノーズ。空気抵抗を減らすため車輪も覆(おお)いで隠しているほどです。また、乗っている人に振動が伝わらないようにするサスペンションなど最新機能が満載されています。車体はグリーンとホワイトを基調にピンクのラインが描かれていて、スピード感あふれるデザインが特徴です。
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東北で言い伝えの残る鬼「なまはげ」の赤い面をイメージしたデザインの新型車両E6系(JR東日本提供)
また2013年3月からは、東京―秋田を結ぶ秋田新幹線にも「E6系」という新型車両が登場し、「スーパーこまち」という名前で運行されます。最大の特長はスピードアップで、最高速度は時速300?`で、2014年春には320?`にさらにスピードアップする予定です。ロングノーズと天井部分が赤に塗られていて、こちらも、これまでとは違った新幹線のイメージになりました。
日本の新幹線は新型車両だけでなく、新しい路線の整備も進んでいます。早さだけではなく、安全性や乗り心地、環境にも配慮するため、今も技術開発が行われています。
(2013年3月更新)