超電導磁石を利用しているのは日本だけ
営業車両に近い改良試験車両 (C)JR東海
列車を浮上し、走行させるには強力な磁石が必要です。そこで、日本が独自に開発したのが超電導磁石です。ある種の物質を一定温度以下にすると、電気抵抗(でんきていこう)がなくなる現象が発生します。日本のリニアモーターカーでは、特殊(とくしゅ)な金属を-269℃に冷やします。そうすることで超電導状態にしています。超伝導体は電流を流すと電気抵抗がなくなります。日本のリニアモーターカーには、この超電導状態のコイルが用いられて、永久に電流は流れ続け、強い磁力が保持できます。超電導磁石を使用すると車両を加速させる力が増し、わずか8.8km走行しただけで時速580kmに達します。また、通常の磁石を使うと車両は1cmしか浮上しませんが、超電導リニアは10cmも浮上します。10cmも浮上するのは日本のリニアモーターカーだけで、他国のリニアモーターカーは1cmほど浮上したり、動力だけが磁力で車体は浮上せず車輪を使うものがほとんどです。地面が多少でこぼこしていても、その影響(えいきょう)を受けにくくなり、高速で、より安全に走行できます。また、地震が発生しても車両を停止させるまで安全に走行可能です。
3月に愛知県名古屋市に開館予定の「リニア・鉄道館」に、有人走行の世界最高記録・時速581kmを記録した車両を搬入(はんにゅう)しています (C)JR東海
現在、この超電導のリニアモーターを利用したリニア中央新幹線が計画されています。営業できるような仕様の車両L0系は2013年に完成する予定です。営業目標速度は時速500kmです。完成すれば、366キロの距離(きょり)がある東京-名古屋間が最速40分(現在は最速約95分)になります。515キロ離(はな)れている東京-大阪(おおさか)間は最速67分(現在は最速約145分)でつながります。
(2011年3月更新)