Web Japan > Kids Web Japan > 日本語 > ハイテクジャパン > 日本の電気自動車が世界新記録を達成!
© Japan Electric Vehicle Club
東京の日本橋から大阪の日本橋まで555.6kmの距離を、13時間26分34秒かけて走破しました。
いま、世界中の自動車メーカーが電気自動車(EV)の開発にしのぎを削(けず)っています。電気自動車は、動力源(どうりょくげん)にガソリンエンジンではなく電動モーターを使用しています。ガソリン車に比べてエネルギー効率(こうりつ)が高く、走行時にCO2を発生しないことから、地球温暖化問題(ちきゅうおんだんかもんだい)への対策の一環(いっかん)として各国で研究されています。 しかし、1回の充電(じゅうでん)で走行できる距離(きょり)が短いこと、走行途中で充電できる場所が未整備(みせいび)なことなど、普及を進めるためには課題も残されています。 このような状況の中、2009年11月17日、日本の市民団体である日本EVクラブが、自分たちで製作した電気自動車で東京~大阪間(555.6km)の距離を途中で1度も充電することなく走破(そうは)しました。2009年10月27日にアメリカのTesla Motorsが打ち立てた記録(501km)を抜き、世界新記録を達成したのです。
走行車両は、日本の自動車メーカーが市販しているガソリン車を改造したものです。車体そのものが軽い車種を選び、ガソリンエンジンを取って、モーターと制御装置(せいぎょそうち)と電池を収納しています。今回の新記録を達成するためには、電池を無駄(むだ)なく積み込む工夫が重要なポイントでした。日本EVクラブでは性能の良い日本製のリチウムイオン電池を使用し、何度も計算と実験を繰り返した結果、目標の555.6kmの走破に最適な本数を8320本と割り出しました。
そして、床下の空間の寸法を丁寧(ていねい)に計測し、車体にぴったりと合う電池ケースを作ったことで、コンパクトかつ無駄のないように積み込むことに成功したのです。
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ミラEV(日本EVクラブ製作)
ベース車両:ミラバン(ダイハツ工業株式会社)
モーター:DCブラシレス同期型
定格出力:14kw
最高出力:35kw
電池:リチウムイオン電池 (三洋電機株式会社)
総電圧:240.5V
総電力量:74kwh
タイヤ:エコ・ウォーカー(株式会社トーヨータイヤジャパン)
定員:2名
高橋進(クラッカースタジオ)
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使用したリチウムイオン電池は直径が18mm、長さが65mmの円筒形で、パソコンに使用されているものです。走行車両の全ての電池を再充電するには約10時間かかるそうです。
こうして製作された独自の電気自動車は、東京~大阪間の一般道路では時速40~60km、高速道路では平均時速80kmで走行しました。電気自動車の電池が一番消耗するのは発進時の加速で、特に渋滞(じゅうたい)による停止・発進のくり返しは負担がかかります。また雨天時の走行はタイヤの転(ころ)がり抵抗が増大するため、エネルギー効率が落ちます。日本EVクラブが挑戦した当日は雨天に見舞(みま)われ、大きな渋滞にも2回遭遇(そうぐう)したそうです。現実的で過酷(かこく)な環境下での世界新記録の達成は、電気自動車のさらなる発展にとって意義深いものです。 日本EVクラブでは今後も記録に挑戦するそうです。途中の充電なしで1,000km走行できることを目標に定めて、現在、着々(ちゃくちゃく)と準備を進めています。
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ガソリン車と変わらないスピードで走行でき、運転も快適です。
(2010年3月更新)