キッズ・ウェブ・ジャパン

Web Japan > Kids Web Japan > 日本語 > ハイテクジャパン > 生命進化のなぞを解く


ハイテクジャパン

生命進化のなぞを解く


生きる化石


シーラカンスシーラカンス

(上)タンザニアで行われた一体目のシーラカンス寄贈式典での写真
(下)二体目のシーラカンスは、体液と脂肪(しぼう)をプラスチックで置きかえる「プラスティネーション」という特殊(とくしゅ)なプラスチック加工をして標本にされています。当時タンザニアでとれた最大のもので、体重105Kg、身長170cmでした。(東京工業大学所蔵シーラカンス標本)

「シーラカンス」とは?


 約4億年前に出現した魚です。シーラカンスは6500万年ほど前に恐竜(きょうりゅう)と同じく絶めつしたと考えられていましたが、1938年に南アフリカではじめて発見されました。シーラカンスは、生き物が魚類から四足の陸上動物に進化した兆しが見られるので、進化の過程を知る上で貴重な生物だといわれています。現在日本では20の大学などが共同でシーラカンスを研究し、生命の進化の謎を解明しようとしています。これまで、アフリカ東海岸のタンザニアから日本に2体の成魚が寄贈(きぞう)されています。


おどろくべき魚


CTスキャン

CTスキャン装置とCT画像
(写真提供:東京工業大学岡田典弘教授、協力:GE横河メディカルシステム株式会社)

シーラカンス地図
  • 頑丈(がんじょう)なヒレ

     シーラカンスにはヒレが8つもあり、他の魚のヒレとちがっています。骨があり、胸びれと腹びれは足に近いです。解剖(かいぼう)によって筋肉と神経の通り方を調べ、四足動物とどういう関係があるのか、研究しています。

     人間の病気の診断(しんだん)に使われるCTスキャンという装置があります。これを用いて、シーラカンスの体の中をのぞいてみたところ、ヒレの骨に関節があることがわかりました。また、頭骸骨(ずがいこつ)の頂点の部分にも関節のような構造があることがわかりました。このため、シーラカンスは口を大きく開けられるという説があります。
  • かたいウロコ

     かたいウロコの表面は人間の歯のようなエナメル質です。
  • DNAの分析(ぶんせき)

     遺伝学的な分析をした結果、タンザニアの近くの海に繁殖(はんしょく)集団がいることがわかりました。


タンザニアで大発見


image

 タンザニアのビクトリア湖では世界でもめずらしい現象が見られます。1万2000年前から生息する生き物が700種類にも分かれたのです。東京工業大学の岡田典弘(おかだ のりひろ)教授らはビクトリア湖に生息する魚について研究しました。その結果、環境(かんきょう)に応じて遺伝子が変わることがわかりました。そのため、魚の色が変わってきたそうです。
 この湖ではメスをひきつけるために、浅い水深にいるオスの魚は青色になりました。深い水深にいるオスの魚は赤色になったそうです。このようにオスがすみ分けられることで、種類が分かれていきました。このような変化を長い時間かけてくり返し、700種類もの生物に細かく分かれていったのです。


 海の環境には、生物進化のなぞを解くカギがありそうですね。




写真提供 東京工業大学 岡田典弘教授


(2008年12月更新)