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ハイテクジャパン

行き先を告げるだけ―夢の自動運転車


パート2

駐車場でも楽々

 日本の大きなショッピングセンターには、とても広い駐車場があります。多くの人が訪れる休日には、自動車をとめる場所を探すのも、重たい食料品などを自動車まで運ぶのも大変です。


 別の大手自動車メーカーは、無人で走行して駐車する自動車を開発しています。店の近くで運転手が降りると、自動車は駐車場にある監視カメラからの情報を受け取って、空いている駐車スペースを見つけます。買い物を終えた運転手が自動車を降りた場所まで戻り、通信機で呼び出せば、自動車が迎えに来てくれます。


自動運転が実現すれば、駐車場での苦労もなくなるかもしれない (本田技研工業 提供)

自動運転が実現すれば、駐車場での苦労もなくなるかもしれない (本田技研工業 提供)


自動ブレーキの性能向上も重要な課題だ。既に実用化されているシステムは時速30キロ以下で走行中に障害物を見つけると自動停止し、それ以上の速度だとブザーなどで運転手に停止をうながす。画像認識システムを改良し、前方の歩行者と衝突する可能性があるときは時速60キロでも自動停止するシステムが開発された。このシステムを使った自動車は、早ければ2015年に発売される (本田技研工業 提供)

自動ブレーキの性能向上も重要な課題だ。既に実用化されているシステムは時速30キロ以下で走行中に障害物を見つけると自動停止し、それ以上の速度だとブザーなどで運転手に停止をうながす。画像認識システムを改良し、前方の歩行者と衝突する可能性があるときは時速60キロでも自動停止するシステムが開発された。このシステムを使った自動車は、早ければ2015年に発売される (本田技研工業 提供)

 この機能がさらに発展すれば、スマートフォンで「夜10時に駅前の駐車場」などと入力し、自宅から無人の自動車を呼ぶこともできます。会員制で自動車を共同利用するカーシェアリングと組み合わせると、いつでもどこでも自動車を借りたり返したりすることができるようになります。



歩道走行ロボットに応用

ROPITSは、携帯端末で時間と場所を設定すれば迎えにも来てくれる (日立製作所 提供)

ROPITSは、携帯端末で時間と場所を設定すれば迎えにも来てくれる (日立製作所 提供)

 このような研究には、道路上の障害物を見つけるセンサーや高度な人工知能を備えたコンピューター、自動車と信号機をつなぐ通信設備など、これまでの自動車にはあまり使われていなかったさまざまな技術が重要になります。そのため電機メーカーやコンピューターソフトを作る企業なども、大きな関心を持っています。


 日本の大手電機メーカーは、お年寄りの送り迎えなどに利用できる1人乗りロボット「ROPITS」を開発しました。コンピューターによる自動車の運転にも使える技術です。


四つの車輪はそれぞれ上下に動くため、段差があっても車体は常に水平を保っている。
(日立製作所 提供)

四つの車輪はそれぞれ上下に動くため、段差があっても車体は常に水平を保っている。 (日立製作所 提供)

 ROPITSは、インターネットとつながった携帯端末で目的地を指示すれば、最高時速6キロで歩道を自動運転して運んでくれます。自分がいる場所は、人工衛星からの電波を使ったGPSセンサーと、詳しい地図データを照らし合わせて調べます。前方にある障害物との距離を測るセンサーを使い、歩行者や道路のでこぼこを見つけます。広い場所では速度を保ったまま障害物から離れ、狭い場所では減速して障害物の近くを通り抜けます。歩行者が近づくと自動的に停止します。現在の日本の法律では、このロボットは公道を走れないため、特別に認められた地域の中で実験を重ねています。


 自動車は便利な乗り物ですが、交通事故や環境汚染などの問題も引き起こしてきました。コンピューターによる自動運転が実現すれば、運転手のよそ見や居眠りによる事故や、渋滞による無駄なエネルギー消費を減らすことにもつながっていくのです。


(2014年3月更新)