©米スタジオ・Boichi/集英社 ©清水茜/講談社 ©遠藤雅守、真西まり、トレンド・プロ/オーム社
科学について、楽しく学べるマンガが、今、日本で話題になっています。
これまでも、教科書に書いてあるような内容をマンガでわかりやすく学ぶことは一般的でした。とくに世界史や日本史に関するマンガが、多くの小学生や中学生、高校生の勉強の助けとして読まれてきました。
一方で、最近では、歴史だけでなく、難しいと思われがちな科学を自然と勉強できるようなマンガも人気です。今回は、そんな科学の知識が詰まったマンガを紹介します。
未来の地球で、失われた科学文明をつくり直す『Dr.STONE』
『Dr.STONE』3巻表紙 ©米スタジオ・Boichi/集英社
肺炎を治療する薬をつくるシーン(『Dr.STONE』4巻より)©米スタジオ・Boichi/集英社
そのひとつ、『Dr.STONE』は、世界中の人類が突然石になってしまい、それから数千年後に、数人の高校生がよみがえる……という設定のマンガで、テレビアニメにもなっています。その高校生の中に、化学や医学に並外れてくわしい天才高校生がいて、失われた人類の文明をゼロから築き直していくのです。
彼は、その幅広い知識を生かして、森や湖や火山の洞窟から資源を集め、鉄やガラスを作ったり、電気を起こしたり、肺炎に効く薬を作ったりします。ガラスを作るにはどんな鉱物が必要か、どんな工程が必要かを自然に理解できる上に、興味も広がります。
人の体内で起こる現象を擬人化して描く『はたらく細胞』
『はたらく細胞』1巻表紙 ©清水茜/講談社
血管の中に侵入する肺炎球菌たちを描いたシーン、肺炎球菌が怪人として表現されている(『はたらく細胞』1巻より)©清水茜/講談社
『はたらく細胞』は、人間の体の中の働きを物語として描いたマンガです。人間の血液の中で、主に赤血球は酸素を運び、白血球は体内に侵入してきた細菌を撃退する役割があります。このマンガでは、赤血球や白血球などの細胞が人間の姿・形をした主人公として描かれています。赤血球は酸素を運ぶ宅配業者の女性、白血球は警察官のような男性キャラクターとして登場し、肺炎球菌などの細菌は、怪人やモンスターとして出現します。
たとえば、人間の体の中に細菌が侵入したときに、白血球が、細菌とどのように戦っているかといったことが、1つの物語として描かれます。
このマンガの作者は、高校生の妹に、「細胞のことをおぼえたいからマンガに描いて」と頼まれたことをきっかけに、このマンガを書き始めたそうです。
そのマンガが人気を集め、テレビアニメ化され、翻訳されて海外版も出版されています。
赤血球を擬人化した宅配業者のキャラクター
(アニメ『はたらく細胞』より)©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
魅力的なキャラとストーリーで専門的な内容まで学べる
勉強に特化したマンガの中で、科学の分野をわかりやすく描いて人気なのが、『マンガでわかる』シリーズです。薬理学、機械学習、量子力学、ディジタル回路、栄養学など、幅広い分野をカバーしながら、子どもにもおとなにもわかるように描かれています。
たとえば、その中の一冊『マンガでわかる電磁気学』では、主人公の男子学生が、ふとしたことから知り合った女性教師に電磁気学を教わるという設定の中で、法則や方程式が多くてわかりにくい電磁気学を、すらすら読めるかたちで教えてくれます。
このシリーズも、海外の多くの国で翻訳され出版されています。
『マンガでわかる電磁気学』 ©遠藤雅守、真西まり、トレンド・プロ/オーム社
原子核や陽子、中性子、電子の電荷を主人公に説明する先生。
『マンガでわかる電磁気学』 ©遠藤雅守、真西まり、トレンド・プロ/オーム社
多くの国で出版されている『マンガでわかる統計学』 ©高橋信、トレンド・プロ/オーム社
科学のおもしろさを教え興味をひろげてくれる
これらのマンガに共通するのは、「科学についてよくわかる」だけでなく、「科学のおもしろさに気づかせてくれる」ことです。そして、もっと知りたいと思うのです。それは、もともと科学が持っているおもしろさが、マンガという形で親しみやすく表現されたことによるのかもしれません。
もしあなたが、科学について、「つまらないけど仕方なく勉強するもの」だと思っているなら、こんなマンガを読んで、科学のおもしろさに目覚めてみませんか?