幸せを招くとされる招き猫（豪徳寺）
最近、日本では猫を飼ったり猫グッズを買う人が増え、猫ブームと言われています。しかし、最近の猫ブームの遙か前から、猫が片方の前足で手招きのポーズをしている「招き猫」の置物は幸せを招くとされ、定着しています。世界各国から訪れる観光客の土産としても人気です。
縁起物の置物
招き猫は右手を上げれば「金運」を、左手を上げれば「人」や「幸運」を招くと言われ、日本の飲食店などで商売繁盛を願い、どちらもよく飾られています。
最近は伝統的な白い招き猫だけでなく、ピンクや緑などカラフルなものも販売されています。
ピンクは「恋愛成就」、緑は「学業向上」など、色によって叶う願いが違う（招き猫の専門店 オルネコイデ提供）
金運を願い、昔の日本のお金を持つ招き猫はよくありますが、最近ではアメリカのドルをイメージしたお金を持つ青い目の招き猫や、招き猫のコスプレグッズなど、日本国外からの観光客向けにアレンジした商品も登場しています。
ドルを持つ青い目の招き猫（招き猫の専門店 オルネコイデ提供）
招き猫のコスプレグッズ（クリアストーン提供）
由来は武士を助けた猫？
招き猫発祥の地とされる場所はいくつかありますが、その一つが東京都世田谷区にある豪徳寺というお寺です。豪徳寺にはこんな言い伝えがあります。昔、ある身分の高い武士が豪徳寺の前を通りました。猫が門の前で手招きしたため、中で休んでいたところ、激しい雷が鳴り始め、豪雨を避けることができました。その後、お礼に武士が豪徳寺に多額のお金を寄付し、お寺が発展したことから、縁起の良い「招き猫」が誕生したそうです。
現在、豪徳寺にはたくさんの招き猫が並べられています。招き猫が願いを叶えてくれたと信じる人が、招き猫を豪徳寺に奉納するためです。
豪徳寺の外観と奉納された招き猫
電車も「招き猫」仕様
豪徳寺の近くを走る東急世田谷線には、2017 年 9 月、開通110周年を記念して「幸運の招き猫電車」が登場しました。電車の正面には招き猫の顔が描かれ、車内もつり革が招き猫になっていたり床に猫の足跡が付いていたりします。
「幸運の招き猫電車」（東京急行電鉄提供）
つり革が招き猫に（東京急行電鉄提供）
床には猫の足跡（東京急行電鉄提供）
小田急線の豪徳寺駅には、高さ１メートルほどの招き猫像があり、人気の撮影場所です。付近の商店街には、招き猫の器に入った日本そばや、招き猫型の箱に入れた和菓子、猫グッズを販売する雑貨店など、招き猫に関連したスポットやお店がたくさんあります。
豪徳寺駅の招き猫像
招き猫の器に入った日本そば（福室庵）
招き猫型の和菓子用の箱（東肥軒）
豪徳寺公認の招き猫巾着（pouch）と手ぬぐい（washcloth）（東京ねこなかま）
招き猫がテーマの祭り
愛知県瀬戸市は、良質な陶土が豊富で、それらを原料にした陶磁器づくりが昔から盛んです。招き猫の置物の大量生産も行ってきました。そうしたことから、招き猫がテーマの祭り「来る福招き猫まつり in 瀬戸」が毎年開催されています。祭りでは、「にっぽん招き猫100人展」の開催や、招き猫型の弁当箱に入った昼食が食べられるほか、無料で招き猫のメークをしてくれる企画もあります。
「来る福招き猫まつり in 瀬戸」の様子（瀬戸市交流活力部提供）
陶製招き猫弁当箱は持ち帰り可（瀬戸市交流活力部提供）
招き猫メークの無料体験（瀬戸市交流活力部提供）
完成した招き猫メーク（瀬戸市交流活力部提供）
街には「福猫」という愛らしい猫の置物が29カ所隠れており、福猫探しの散策も面白いでしょう。
街中に隠れている「福猫」たち（瀬戸市交流活力部提供）
近くの「招き猫ミュージアム」では、日本各地の招き猫を展示しています。絵付け体験コーナーもあり、自分だけの招き猫を作ることができます。
日本各地の招き猫を展示する「招き猫ミュージアム」（上）と（絵付け体験コーナー（瀬戸市交流活力部提供）
日本に来たら、飲食店や雑貨店で招き猫を探してみてください。土産にも最適で、贈る相手の夢や願いが叶ったり、健康や幸せが続くことを願う、あなたの優しい気持ちが伝わることでしょう。
