好きな本を手に取り、きままに楽しめる宿泊施設(Book Tea Bed GINZA)
図書館や本屋のような、本に囲まれた空間で、時間を気にせず本を読み、そのまま眠りにつけるとしたら? そんな夢のような宿泊施設が日本にあります。世界中から集めた蔵書や、いろいろな言語の漫画を備えた施設もあり、親子で利用する人もたくさんいます。日本語でも絵本やガイドブックなど、見るだけでも楽しめる本も取りそろえています。家族旅行で宿泊した時、スマートフォンやゲーム機から手を放し、読書の世界に浸ってみませんか?
一生の思い出になる読書体験
インターネットやスマートフォン、ゲーム機器などで遊ぶ機会が増え、世界的に子どもが本を読まなくなり、問題になっています。日本でもそうした危機感から、子どもの読書活動を推進する法律が2001年にできました。子どもが自分から進んで本を読むことで、言葉を学んだり、感性を磨いたり、生きる力を身につけられるようになるといわれているからです。
読書体験を宿泊や観光と結び付け、本と接する楽しい思い出を子どもたちにも提供するのが「泊まれる本屋」です。「まるで本屋に泊まったような気分が味わえる」と人気です。泊まった人からは「隠れ家みたいで楽しめた」という感想も寄せられています。並んだ本棚の間に設けられた個人スペースに潜り込めば、秘密基地の気分を味わえます。
日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語、タイ語の6カ国語、約5000冊の蔵書がある(提供 ホステルわさび大阪Bed and Library)
フリースペースでの読書(提供 Book Tea Bed GINZA)
Book Tea Bed GINZAは、英語と日本語が堪能な外国人スタッフが働いている
カフェスペースでドリンクを飲みながら読書ができる(Book Tea Bed GINZA)
個人スペースには、布団というベッドセットが用意され、狭くても快適に過ごせる工夫がされています。カフェスペースがある施設も多く、宿泊者同士で、訪れた場所やおいしい食べ物について語り合う姿も見られます。宿泊していなくてもカフェを利用できるところもあり、「泊まれる本屋」は、さまざまな国の人が集まり、楽しい場所になっています。
施設は、青少年の旅行者に安全で安価な宿泊施設を提供しようと世界中に広まっている「ホステル」タイプの宿で、外国人の若者も多く利用しています。英語に加えさまざまな言語を話せるスタッフがいて、コミュニケーション面でも安心です。Wi-Fiやシャワールーム、洗面所もあるので、旅行には便利です。将来、日本に来る機会があれば一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
地方にも広がる「泊まれる図書館」
和歌山県の熊野エリアには、古民家を改良した「泊まれる図書館」があります。「地域の子どもたちが、学校が終わった後に過ごせるスペースを提供しよう」と始めたそうです。子どもたちは学校や宿題、習い事と大変なので、ここではのんびり過ごしてほしい、と施設の人は考えています。また、学びは与えられるものではなく、自分の興味で自発的にするものだ、という考えから、いろいろな本をそろえています。勉強したい子どもには、お茶やおやつ、Wi―Fi、コンセントを備えた自習室もあります。
宿泊する旅行者は、日本らしさが味わえる畳(植物を固く編んだマット)を敷いた部屋で布団を敷いて寝ます。部屋の本棚には、日本のコミックスもたくさん置かれ、それらの本を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごせます。この施設では、地元の子どもたちと遊んだり、イベントに参加したりと、”日本の暮らし”を楽しく体験できることでしょう。
「Youth Libraryえんがわ」外観(提供:Youth Libraryえんがわ)
学校を終えた子どもたちもよく集まる (提供:Youth Libraryえんがわ)
日本のコミックスも多い(提供:Youth Libraryえんがわ)
1日1組限定で、家族連れもゆったり過ごせる(提供:Youth Libraryえんがわ)